過疎地域だからこそできる! 劣勢を味方にした津和野高校の生徒募集とは

こんにちは! SN校内新聞編集部です。

人口が減少しつつある今、地方では急速に高校の統廃合が進んでいます。子どもの数が極端に少ない地域では、生徒募集に苦戦している学校も珍しくありません。

ところが数年前から、人口の少なさを逆手に取って特徴的な教育活動を行い、他の地域から生徒を集め、地域と連携しながらユニークな取り組みを進めていく動きがあることをご存知でしょうか? それが「高校魅力化プロジェクト」です。

今回は、5年前から高校魅力化プロジェクトに県と町と共に取り組んでいる島根県立津和野高校で、3名いる魅力化コーディネーターの中の1人として勤務する山本竜也さんに、プロジェクトの内容や効果、学校外の人材をうまく生かすコツなど、全3回にわたってお聞きしました。初回は、高校は地域にとってどんな存在であるのか、統廃合を回避するためにどんな工夫ができるのかなどをお届けします。

高校の統廃合が進み、地域から若者がいなくなる

—同じ公立高校でも、首都圏と地方部では抱えている問題が異なるのではないかと思います。地方公立高校にはどのような課題があるとお感じですか?

少子化や過疎化により、地方では高校の統廃合が急速に進みつつあります。特に中山間地や離島などの厳しい環境の場所では、統廃合の計画が次々と決まっている現状があるようです。

—地域から高校がなくなってしまうと、どのようなことが起こるのでしょうか?

町から高校がなくなるということは、15歳で若者が町からいなくなってしまうということを意味します。鉄道で通うならまだしも、通学手段もないところでは、県内であろうと、寮生活ということになりますね。そうなってしまうと、故郷への「愛着」や故郷がなくなってしまうといった「危機感」が薄れてしまうのではないでしょうか。

—確かに故郷で過ごす時間が明らかに少なくなってしまいますね。故郷を思う心が育みづらくなることが一番の問題といえますか?

それだけではないですね。UターンやIターン者を呼び込むときの問題にもなっています。たとえば、家族での移住を検討するときに、高校がない町はその時点で選択肢に入ってこない。そうすると、町がこの先持続していけるのか、怪しくなってきてしまいます。

地方創生の文脈から、高校の統廃合への危機感を高めている自治体が増えています。

統廃合を防ぎ、生徒募集を安定させる術

—統廃合を防ぐためには当然ながら生徒に選ばれる学校でなければいけませんよね? どんなアプローチがあるのでしょうか。

島根県立津和野高校は、そのような危機感から、「高校魅力化プロジェクト」をスタートさせました。私は、町役場に雇われて、「高校魅力化コーディネーター」という肩書きで毎日学校に行って生徒たちと関わったり、先生のサポートを行ったりしています。

高校魅力化プロジェクトでは、県立高校が立地している自治体の役所や役場が、高校に人と予算をつけた上で、県と連携しながら取り組みを進めていく形になっています。つまり、町が、自分の町の持続可能性や教育環境の充実などを目指して、高校へ人材を送っているということです。

—学校単体でプロジェクトを行うのではなく、地域ぐるみで高校の存続のために活動をしているのですね?

はい。では、このプロジェクトによって何が変わるのかをお話します。