こんにちは、SN校内新聞です!
暑い日が続いていますね…。三連休は全国各地で40℃近い気温を観測し、5000人以上の人々が熱中症とみられる症状で病院に搬送されたとのこと。特にこどもは体温調整機能が未熟なうえ、自分で具合が悪いことにも気が付きにくいので、怖いですね。
私が学生の頃は、小中高すべて公立校でしたが、特別教室などを除いてクーラーはありませんでした。職員室が涼しくて、先生だけずるいとみんなでよく言ったものです。あれからうん十年たっているので、今の学校の教室にはクーラーなんて当然のようについているのかな、と思い調べたところ、意外な結果が。
文科省が約3年に一度調査している「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査」によるとこのような結果が。
20年前までは全国の普通教室で空調(冷房)が設置されていたのは僅か3.7%、特別教室では11.4%でした。確かに音楽室や理科室は涼しかった記憶があります。
それから12年で普通教室の設置率は緩やかに16%まで上昇しましたが、そのあとの7年で49.6%までぐっと増えました。それでもまだ全国の教室の約半分です。
都道府県別に普通教室の冷房の設置率が低い順に並べてみました。
冷房の設置率ワースト10の顔ぶれですが、北海道や東北地方などのそもそも涼しいから必要ない県がほとんどですね。
黄色の網掛けは設置率が10%以下で、かつ平均気温が高い危険な4県です。
そして香川県は都市部でもないのに設置率が優秀すぎです。良いことだけど、なんで?笑
多少ばらつきはあるものの、猛暑日は戦後から増えつづけています。
猛暑日以外の日を含めるとどの程度暑くなっているのか気になったので、30年前、1988年の7月の最高気温と今年の最高気温を比べてみました。1988年の最高気温(青線)を2018年の最高気温(灰色)がほぼ上回っています。やっぱり温暖化してるんですね。
全米経済研究所の発表によると、このような研究データもあるようです。
年間の平均最高気温が1℃暑くなると、子供の学力が偏差値換算で0.045程落ちるようです。米国はデータが充実しているので、学力がどれぐらい所得向上に寄与するのか分かっています(16歳の時点で偏差値が1違うと生涯所得で100万円弱違ってきます)。なのでこれを基に計算すると、平均気温が1℃上がると、学力低下による生産性の低下で、個人の生涯所得が約4万2千円下がってしまうようです。
そんな因果関係までわかるんですね。確かに暑い日は「暑い暑い!」とばかり思っていて、先生の話が頭に入ってきませんでした。なんでも損得勘定すればいいとは言いませんが、経済的にみても得ならば先行投資と思ってぜひ設置して欲しいですね。
とはいえ公費にも予算があります。
東京とあまり気温差のない千葉県ですが、空調設置率は44.5%とかなり低いのが現状。どうやら東日本大震災以降の学校の耐震工事が優先され、公費での設置ができなかった経緯があるようです。現在設置されている高等学校の多くはPTA費を使用して設置されたようですが、生徒一人当たり年間一万円程度の保護者負担が発生してしまいます。世帯所得が増えず、物価だけが上がり続けるこの国では、たかが一万、されど一万でしょうか。
お金の問題とは別に、「私たちの若いころは暑さくらい我慢した!」という声も。うーん、なかなか足並みを揃えるのは大変だと思われましたが…
学校のクーラー。保護者に熱々の教室を体験してもらったらすぐにPTAが動いて設置してくれました。公費ではなくPTA費でないとつけられないのは問題ですが、体験してもらったら「昔はなくても大丈夫だった派」が全滅しました。
— TNT (@TNTO8698) 2018年7月15日
ある学校の保護者は一回体験したらすぐにわかってくれたようです(笑)なんにせよ、すぐにまとまったみたいで良かった。
だんだんと熱帯化している今の日本において、暑さは気分ではなく命の問題。生徒はもちろん先生だって倒れるかもしれません。
お金は湯水のように湧いてくるものではないことは理解していますが、できれば行政に負担して欲しいですね。また、場合によっては授業中の飲水なども許可したほうがいいかもしれません。日々目まぐるしく変わる環境にあわせて、私たちも変化していく必要がありそうです。