なぜあの学校は前例主義から脱出できたのか? 鍵は「プロジェクト化」にあった

こんにちは! SN校内新聞編集部です。

学校現場は何かと手続きが多く、つい前例主義になりがちですよね。「なんだかおかしいな」と思いつつ、日々の忙しさに流されいつの間にか問題意識を失ってしまった……という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、東京都北区にある聖学院中学・高等学校は違います。週刊東洋経済の調査で学力伸長率全国1位に輝いたこともある本校、先生たちが時代や課題に合わせて新しい取り組みにどんどん挑戦し、多数のプロジェクトを回し、学校行事や職員会議、進路指導など改善し続けているというのです!

気になった編集部が取材に伺うと、「どのプロジェクトも1人の先生が声を挙げることで始まっている」とのこと。その声はどのように広がり、学校全体を変えるのでしょうか?  

進路指導部長の生田先生に、学校を変える5つのコツを聞きました。

「なんかおかしい」なのにやめられない!

聖学院 中学校高等学校 *HPより)

――時代錯誤な伝統やなんとなく続けてきてしまった行事など、学校には「変えたいけど変えられない仕組み」が数多く残っています。聖学院中学・高等学校はどんどん新しいプロジェクトに着手していると耳にして驚いたのですが……。

聖学院は1906年に始まった歴史ある学校です(神学校の創立は1903年)。歴史があるからというわけではないでしょうが、職員会議が形骸化していたり、担任の先生1人がクラス全員の進路指導を抱え込んでいたりと、本校も「うまく機能していないのに何となく続けられている仕組み」を持つなどの問題を抱えていました。

――うーむ、全国の多くの学校が同じような悩みを抱えていると思います。

先生によっては「多少の問題はあって当たり前」「前例に則るのは仕方のないこと」と思う人もいるかもしれません。でも、心のどこかではそのやり方に違和感を持っているはず。聖学院では近年、「こうしたい」「これはおかしい」に対し声を挙げ、積極的に解決していく文化が少しずつできてきていると思います。もちろん、まだまだ発展途上な部分も多いのですが。

――実際に、いま聖学院中学・高等学校で進めているプロジェクトはありますか?

ここ数年は「2020年問題」に向けて「20プロジェクトチーム」として発足、現在は「21教育企画部」として学校行事の体系化やリニューアルを進めています。

聖学院は中学から高校までいろいろな体験学習があるんですが、一つひとつが「点」として独立していたんです。かねてから「せっかくいい行事が揃っているのにもったいないな」と感じていたので、2020年問題が目前に迫ったこともあり「点」を「線」にするためにプロジェクト化しました。

(実際に農家に宿泊させてもらう「糸魚川農村体験」)

どの学年でどんな行事があり、それを通して何を学ぶのか。全ての行事が終わったとき、どんな人間になっていてほしいのか。プロジェクトチームで考え、必要な要素を足したり減らしたりしていく予定です。

すでに、高校1年生で実施する「フレッシュマンキャンプ」は大きくリニューアルしたんですよ。社会を自分ごとに引き寄せるようなプログラムにアップデートし、今年から名称を「ソーシャルデザインキャンプ」に変えました。それに伴ってオリエンテーションやワークショップを開催したり……。

――なんと大がかりな……! 

そもそもなぜ「もったいない」と感じたかというと、時代の変化もあるんです。最近は大学入試でも総合的な力が求められています。昔から多種多様な体験行事を取り入れてきた聖学院は、今の時代が追い風なんです。より魅力ある学校にするため、これはチャンスだ、と(笑)。

――なるほど。多くの先生が「時代に合わせて学校も変わらなければ」と思っているいま、聖学院の取り組みは模範的な事例になると思います。ただ、「プロジェクト化」と一口に言ってもそんな簡単にうまくいかないと思うのですが、一体どうやって取り組んだのでしょうか?

うちは良くも悪くも、リーダーシップで引っ張る学校じゃないんです。問題意識を持った1人が声を挙げ、それをプロジェクトとして立ち上げるパターンが多いですね。とは言っても、ただ単純に「〇〇プロジェクト」というグループを作ればいいわけではありません。プロジェクトを成功させるには、ちょっとしたコツがあるんですよ。

――プロジェクト化のコツ、気になります。ぜひ教えてください!

「なんかおかしい」なのにやめられない!