逆算のキャリア教育から学ぶ楽しさや得意から考える高校の進路指導へ

こんにちは! SN校内新聞編集部です。

高校の進路指導のエキスパートO先生からお話を聞くシリーズも今回で最後となりました。前回までは、O先生がこれまで行なってきた進路指導について、具体的な方法論や経験談をお聞きしましたが、今回は、O先生の考える進路指導観やキャリア教育論についてお伺いします。

大学受験の枠を超えて、生徒が卒業後に迎える未来まで考えた進路指導や教育のあり方についてお伝えします!

「好きを仕事にする」はキャリア教育・進路指導は正しいの?

進路指導改革1:進学校の進路指導改革 おさえておきたい7つのステップとは?

進路指導改革2:進路講演会の再構築と予備校との連携を実現した進路指導改革

ー第1回、第2回と進路指導の実践についてお話を伺ってきましたが、O先生はどのような思いをもって指導に当たっているのですか?

そもそも高校の進路指導の目的とは何でしょう? 大学の入試先を決めるというだけではありませんよね。その先にある“社会に出て働く”シーンを考えなければ、本当に意味のある進路指導にはなりません。

将来どのような仕事をして社会に貢献し、自分の人生をつくっていくのか。生徒自身に考えさせて方向性を見出すことこそが進路指導の本来の目的だと思います。ここで適切な方向性に導くことも教師の役割のひとつでしょう。

ー生徒に将来の方向性を見出させることは非常に難しいことだと思います。どのようなことに気をつけていますか?

私は、進路指導において「好きなことだけを追わせると失敗する」という一面があると思っています。

ー高校の進路指導でも大学生の就職活動でも、「好きなことを明確にして、そこから道を選びなさい」という指導が一般的かと思っていましたが……?

仕事とは継続していくものです。ですから、私は「好きなこと、やりたいこと」よりも、むしろ「自分が人よりうまくできること」「ずっとやり続けても苦痛にならないこと」などを優先した方が、良い将来につながっていくのではないかと思うのです。

東進ハイスクールで現代文を教える林修先生は、現在テレビでも活躍されていますが、過去にIT関係のビジネスで起業して失敗したという過去があります。林先生は、「世の中には自分よりビジネスをずっとうまくできる人間がゴロゴロいる」ということに気づき、自分が得意な「人に教える」ことを仕事にするため予備校講師となったと話していました。