10年以上前のキャリア教育を引きずっていませんか?

こんにちは!SN校内新聞編集部です。

今回のテーマは、「キャリア教育」。福島県棚倉町で開催された「キャリア教育シンポジウム」において筑波大学でキャリア教育の研究に携わる教授の藤田晃之先生による講演「棚倉町キャリア教育シンポジウム」の内容を、全3回にわたりお届けします。

第1回目は、キャリア教育がこれまでに辿ってきた変遷を振り返りながら、今日のキャリア教育の位置付けを整理していきます。

町をあげたキャリア教育で未来の地域を描く力を養う

福島県棚倉町におけるキャリア教育のテーマは、「たなぐら町の子どもはたなぐら町で育てる」です。子どもたちが夢を持ち、その夢を叶えるためのプロセスとして、地域の幼稚園から高校までが連携して、継続的にキャリア教育に取り組んでいます。

特徴的な取り組みとして挙げられるのが、学外における「チャレキッズin棚倉」。町内の企業約60社の協力を受け、小学校5~6年生を対象に職場体験等を夏休み期間に実施しています。

このような、地域の仕事に触れる体験は、子どもたちの仕事観を育てるために有効です。というのも、長年同じ地域に住んでいても、実は住んでいる地域のことってあまり知らないんですよね。いつも学校と家との往復で、せいぜい塾などの習い事に行くくらい。通学路に工場や企業があっても、そこでどんな仕事が行われて、社会に何を生み出しているのか、知る機会がないんです。

ですから、中学生になって、いきなり職場体験として「どんな職場での体験をしたいですか?」と聞かれても、答えられない。無理に答えようとすれば、知っている範囲の狭い選択肢から選ぶしかありません。それはそうです。そもそも世の中にどんな仕事があるか知る機会がなかったわけですから。

キャリア教育を通じて地域をもっと知ることで、子どもたちに、「この町に生まれて良かった」「大きくなったら、この町で仕事をしてみてもいいな」という気持ちになってもらえる効果も期待できます。